ウルトラスエード®は色移りしにくい
〜本革との違いと、安心できる品質の理由〜
1. 「スエード」だけど“革”ではありません
まず最初に知っていただきたいのは、ウルトラスエード®は「スエード風」素材であって、革ではないということ。
本革のスエードは、動物の皮の裏面を削って起毛させた天然素材です。そのため繊維が不均一で、染料が表面にしかとどまらない部分が多く、どうしても摩擦や湿気で色落ちしやすいという性質があります。
一方、ウルトラスエード®は、東レ社が開発したマイクロファイバー(超極細ポリエステル)による人工スエード。見た目や手触りは本革のように上質ですが、構造はまったく異なります。そのため「本革スエードのような美しさ」×「合成素材ならではの安定した品質」を両立しています。
2. 色移りしにくい理由
ウルトラスエード®の繊維は、髪の毛の1/100ほどの細さ。その一本一本の繊維を作る段階で染料を内部に練り込む「原着染色」という方法が使われています。
つまり、表面に染料が乗っているのではなく、繊維そのものが染まっている状態。この製法のおかげで、
・擦っても表面の染料が削れない
・水や汗でにじみにくい
・日光による色あせにも強い
という性質を持っています。
同じ「スエード」でも、
◆本革スエード:起毛が立っており染料が表面に近い → 摩擦・湿気で色移りしやすい
◆ウルトラスエード®:染料が繊維内部まで浸透 → 摩擦・湿気にも強い
と、構造レベルで大きな違いがあります。
3. 「堅牢度3〜4級」とはどんなレベル?
otnek&ebanatで使用しているウルトラスエード®の色の落ちにくさは、JIS規格の堅牢度試験で「3〜4級」と表示されています。これは、5段階中の上から2番目の評価(5級が最高)で、日常生活で問題ないレベルです。
とはいえ、「3〜4級って、どのくらい?」と思われる方も多いはず。
感覚的に言うと——
評価 | 状態 | 生活の中でのイメージ |
---|---|---|
5級 | まったく色移りしない | 白Tシャツと一緒にこすっても無反応 |
4級 | ごくわずかに移るが、ほぼ分からない | 淡い服に長時間接してもほとんど影響なし |
3級 | かなり強い摩擦でわずかに移る | 例えば新品のジーンズが白バッグに擦れる程度 |
2級以下 | 目に見えて色が移る | 日常使用には不向き |
たとえば
・濃色のキャンバス地トートバッグが3〜4級程度
・綿素材のカジュアルパンツでも3〜4級が標準
というレベル感です。通常の使用(座る・持つ・擦れるなど)で、色移りを心配する必要はほとんどありません。
4. それでも注意したいシーン
素材としては非常に安定していますが、「まったく色移りしない」わけではありません。以下のような条件では注意が必要です。
・濡れた状態で白い布や革と強く擦れるとき
・高温多湿の環境で長時間、他の素材と密着しているとき
・強い摩擦を繰り返す
このようなケースでは、ごくわずかに色が移る可能性があります。
5. まとめ
・ウルトラスエード®は「革ではない」ため、革スエードのような色落ちリスクは極めて低い
・染料が繊維の芯まで練り込まれているため、水や摩擦に強く、色が安定している
・堅牢度3〜4級は日常使用に十分安心
・濡れた状態や強い摩擦だけは、まれに注意
その他、ご不明な点等あれば、お気軽にお問い合わせください。